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特殊部品 VS 特殊工具 [ママチャリ]

連休中も、運動を兼ねてママチャリであちこち走り回っています。
文字通り調子に乗っていたら、先日の記事で改造した前カゴの取付金具が、震動で緩んで崩壊してしまいました。
いつの間にか、せっかく取り付けた部品がなくなっていたのです。気を取り直して、緩まないように改造せねば!

 

連休中で時間もあるので、前カゴの取り付けをやり直すついでに、ヘッドの部品にグリース アップしようと思い立ちました。
自転車のボトム ブラケット(ペダルのクランクの付け根部分)や後輪は、構造を熟知していないと分解できないと思いますが、ヘッドの部品は構造が比較的単純です。数年前にも同じ作業をした記憶をたどりながら、DIYしてみましょう。

まずは前回同様にハンドル引き上げ用のヘックスをゆるめ、ステムを丸ごと抜き去ります。ここまでは何回もやっているので、何の不安もありません。この先は、普段見慣れない部品のオンパレードになります。段階ごとに確認していきましょう。

まず立ちふさがっているのは大きなナット。それもオクタゴン(八角形)で、対辺が32.55㎜(実測)という特殊なものです。さすがに、この規格に適合するレンチやスパナを探すのも難儀なので、モンキー レンチで対処するのが早道でしょう。
ところが、アゴが30㎜を越えて開くモンキーは滅多になく、あったとしても全体がうすらでかくなります。例えば、物置に転がっていたモンキーは、全長が25㎝強あるくせにそこまでアゴが開きません。あ~ららら。

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ここでご紹介したいのが、BAHCO社の特殊モンキー(型番:9031)です。
これは手頃なサイズ(全長20cm)でありながら、アゴが38㎜まで開くのです。しかも、アゴには目盛がふってあり、ナットの対辺をちょっと測るのにも便利です。
このナットはさして大きなトルクで締まっているわけではなく、難なく外せると思います。

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ヘッドに取り付けてある前カゴ装着用のステーは、所定の位置に座っているだけなので、真上に引くと外せます。初めて外す場合は、裏面が錆びて固着しているかも知れません。
よ~く見ると曲がりくせがついているので、大型のペンチでつかんでゆがみを修正しておきます。

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その次は、三方に溝が付いた、特殊なナットが控えています。なぜ、このような形状にしなければならないのか!?
このナットの相手をするためだけに、フック スパナの登場になります。
フック スパナにも当然サイズがありますが、STAHLWILLE社の型番:12910、20~42㎜対応のものがジャスト サイズのようです。
フック スパナがなくても、後述のパイプ レンチで対応できます。フック スパナは特殊工具すぎますが、パイプ レンチは家庭に備えておくと便利です!DIYに限らず、「堅く締まったジャムの瓶を開ける」など、日常的にも大活躍しますから(笑)
この特殊ナットは、初めて外す時は表裏がサビついて固着しているかも知れません。潤滑剤をたっぷり染み込ませてから外しましょう。

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その下には、恐らく雨水が入らないようにするための黒いプラスチックのキャップとワッシャーがはまっていました。これらも固着していて外れにくいと思います。その下にはまっている大型のリングがベアリングのケース。最後の砦です。ここは、パイプ レンチで慎重に廻します。すると、キャップとワッシャーもつられてせりあがってきました。しめしめです。

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ようやくベアリングが顔を出しました。このベアリングはハンドルを切るための重要なパーツですが、知らなければ、ここにベアリングが入っているとは気がつかないでしょう。

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ベアリングを太陽の下で観察すると、中にはあまりグリースが残っておらず、残ったグリースは茶色く変色して、油汚れの固まりのようでした。今まで抜き取ったリングやナット、それから自転車のヘッドのネジ山にもパーツクリーナーを吹きかけて古歯ブラシでこすって清掃しておきます。

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外した部品の順番や裏表があやふやになるので、このように順序良く並べてデジカメで撮っておくのが利口です。

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ベアリングは特殊なリング型ケーシングに収まっているので球がぽろぽろ落ちるおそれがないと判ったので、ベアリングを取り出して清掃してみることにします。
さて、清掃といえば、超音波洗浄器を使うのが気楽です。品物を入れておくだけで、人力では洗えないような細部の汚れまではじき出してくれます。水槽に中性洗剤を垂らしておけば、油汚れもかなりきれいになります。
けれども、「超音波洗浄器にベアリングを入れると痛む」という話を聞いたことがあるのを思い出し、すんでのところで思いとどまりました。おそらく、ベアリングが揺さぶられてケーシングにぶつかるので、ベアリングの表面がキズだらけになるからでしょう。
そうなれば、油汚れ用の洗剤を吹き付けて布でやさしくもみ洗いするのが良さそうです。

好きなだけ掃除したら、ベアリングが見違えるようにきれいになりました。これをしばらく乾燥させてから、新しいグリースを景気良くあふれるほど注入して、元通りに組んでいきます。ちなみに、愛用しているのはSHIMANOのデュラグリース。自転車プロショップで「ベストな商品」と奨められました。黄緑色で半透明の見たこともないグリースです。このグリースはドイツ製らしいのですが、グリースといえばカーキ色、もしくは乳白色しか見たことがなかったので、見た目からして他のものとはちがう、という雰囲気が漂っていますね。  

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組み立ての際に注意することは、前カゴ用ステーがまっすぐ前方を向くように調整することと、ステムにグリース アップしておくことでしょうか。
ちなみに、引き抜いたステムの端はこのような構造になっています。

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ステム引上げ用のナットを締めていくと、鋳物の金具(ウス)が斜めに引き上げられ、ついにはヘッド チューブの内部でせり合って止まるのです。
また、ステムには規格(太さ)と限界ラインが刻まれているので、この機会に確認しておくことを奨めます。このラインは「不安定になるので、これ以上ステムを引き上げて固定するのは禁止」を示します。


ところで、前カゴ取り付け部分はこのように部品を追加してヤグラを組み直すことにしました。
緩まないようにダブル ナットにしたり、プレートを追加して安定させたり、足らぬオツムを総動員しています。自転車のチューン アップといえば「装着部品を1グラムでも軽くする」のが本筋でしょうが、完全に逆行しています・・・。

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前カゴに隠れて、普段掃除できない各部を磨いてから、前カゴを装着してみます。どうにも据わりが悪いので、前輪のハブ ボルト(矢印)を緩めて、前カゴを下から支えているステーの角度を若干調整することになりました。
自転車の構造は、単純なようでいて、各部が巧みに支えあって組んであります。一ヶ所ずらすと別のところにそごをきたす、というのは良くあることです。

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さっそく試乗してみました。ハンドルが以前よりくるんくるん回るので、「ハンドルが切れすぎて危ない」という感覚に戸惑いましたが、気分的に達成感が得られました!


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Ten

大きくアゴが開くモンキーレンチは一つ欲しいです。
by Ten (2010-05-04 20:33) 

馬子

Tenさん、初めてモンキーレンチを世に送り出したのが
BAHCO社だと聞いています。ノウハウの蓄積がちがうのですね。
使っていると、他社のものより精度が格段に高いと思います。
by 馬子 (2010-05-04 23:09) 

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